抄録
本研究の目的は,学校改善の内容に対して,規定要因としての助長要因と阻害要因が及ぼす影響を解明することである。本研究では,先行研究の知見を基に学校改善の内容,助長要因,阻害要因を測定するための尺度,及び,学校改善の規定要因モデルを作成し,公立小学校に勤務する副校長を対象とした質問紙調査を行った。得られたデータに対して,探索的因子分析を行い,各尺度における構成概念を明らかにし,共分散構造分析により,学校改善の規定要因モデルを検証した。その結果,学校改善の内容に対して,助長要因は正の規定を示しているが,阻害要因は負の規定の他に正の規定,または,正負の規定と複雑な作用を有するという萌芽的研究としての知見が得られた。阻害要因「学校外からの支援不足」「教員の意欲と力量の不足」「合意優先の学校組織文化」による学校改善の内容に対する正の規定は,阻害要因の克服に取り組み,経営行動として改善を図る学校組織の様相が表出した結果と推察される。