学校改善研究紀要
Online ISSN : 2436-5009
最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 露口 健司
    2026 年8 巻 p. 1-16
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,外部人材配置が教員ウェルビーイングに及ぼす影響を,職務要求-資源モデル (Job Demands-Resources Model) を用いて検証した。A 県公立小中学校教諭3,618 人のWEB アンケートデータから,外部人材配置の効果は「配 置の有無」ではなく教員との「協働の質」によって決定されることが明らかになった。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの「高協働」はワーク・エンゲイジメントを有意に高め,抑鬱傾向を抑制し,主観的幸福感を向上させた。一方,教員業務支援員との「低協働」は逆に抑鬱傾向を高め,主観的幸福感を抑制する要因となった。本研究は,外部人材の配置において,職種ごとの特性を考慮した,配置後の実質的な協働体制構築が不可欠であることを示し,チーム学校政策に重要な示唆を提供した。
  • 大学生の平日・休日睡眠状況と『K6』,幸福・満足・楽しさ・充実感の測定報告
    清岡 優希, 大塚 そらん, 飯田 智行, 林 秀樹, 森村 和浩, 田中 修敬, 高木 亮
    2026 年8 巻 p. 17-31
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    令和 5 年 6 月に閣議決定された『第 4 期教育振興基本計画』では「日本社会に根差したウエルビーイング」として心身と社会性の「良い状態」と幸福感を含んだ向上課題が示された。本研究は学校園の現場で、子供でも、主体的に意識・改善可能な一部の「ウエルビーイング」を探索するために大学生対象に調査・研究する。平日と休日それぞれの就床と起床時間、『K6』、“しあわせ”をめぐる質問を測定した。『K6』基準点数をもとに“しあわせ”の基準点数を ROC 曲線をもとに検討した。また、“しあわせ”の 4 変数や『K6』の改善効果が見込まれる平日睡眠時間の確保効果をロジスティック回帰分析をもとに探索的に検討した。
  • 露口 幸将
    2026 年8 巻 p. 32-46
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、「働き方改革」進行下に生きる教師のライフストーリーに着目し、かれらが「教師」という存在についてどのように語り、定義するのかについて明らかにするものである。教師へのインタビューの結果、かれらが複数の、一見矛盾する ような教職アイデンティティを語ることが明らかとなった。具体的にかれらは自身について、「様々な“指導”を担う存在」「学校教育関係者と連携・協働する存在」「勤務時間を守って働く労働者」であると語った。以上の知見を踏まえ、これまでの教師の意識やアイデンティティに着目した研究の限界性や「働き方改革」の再考の必要性について論じた。
  • 小規模校におけるキャリア教育に着目して
    河村 陽介
    2026 年8 巻 p. 47-65
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,小規模校におけるキャリア教育に焦点を当て,「教師エージェンシー」の向上を図るには,「協働」・「対話」という要素を組み込んだカリキュラム開発を展開することが効果的かを検証すること,またカリキュラム開発が学校の 組織文化に与える影響について検討することである。Y 中学校の教員を対象に質問紙調査と併せて半構造的インタビュー調査から得られたデータを分析した。その結果,カリキュラム開発を展開することが「教師エージェンシー」の向上に寄与することが明らかとなった。一方で,組織文化の著しい改善までには至らないことが明らかとなった。組織文化の改善を図るためには,教師間・教師-地域間のリフレクションや,ディスカッションの要素を取り入れていくことの必要性が示唆される。
  • 小学校での日常的な授業研究における省察を通して
    黒川 達也
    2026 年8 巻 p. 66-80
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    令和4 年答申が求める「主体的に学び続ける教師の姿」を学校内でいかに実現するかは、校内研修の空洞化が指摘される中で喫緊の課題である。そこで本研究は、H 教諭(セルフスタディ実践者)と筆者(クリティカルフレンド)が日常的に授業を見合い、放課後に対話を通したリフレクションを継続する取組を対象に、相互に与える影響を明らかにした。2024 年9 月以降の対話14 回を逐語録化しMGTAで分析した結果、31 概念が生成され、3 カテゴリーに整理された。その結果、継続可能な実施形態、子どもの事実を中心に語ること、フラットな関係性が省察の深まりにつながることが明らかになった。また、セルフスタディ実践者の子どもに対する援助観は、「出ない(抑制)」から「いる(伴走)」へ再定義され、クリティカルフレンドにも見取る力の向上等の学びが生じた。以上は、個別性を担保した日常的な授業研究が校内の教師の学びを拡充する可能性を示唆する。
  • 魅力・悩みや不満・成⾧機会
    山口 賢仁
    2026 年8 巻 p. 81-96
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,キャリアステージごとの高校教員の職能成長の背景的要因を明らかにし,教員が成長する学校組織の構築に向けた示唆を得ることを目的とした。愛媛県教育委員会が実施する基礎研修(初任者研修からキャリアアップ研修Ⅲ)受講者を対象に,「教員の成長と魅力」に関するアンケート調査を行い,その結果を分析した。分析の結果,教職の魅力を強く実感している教員は,教員生活の満足度が高く,職務経験を通した成長実感が大きいとともに,周囲の教員や環境から強い影響を受けていることが確認された。キャリア形成の過程において,職務経験や教員間のネットワークが個人から組織へと広がる中で,複数のキャリア段階の教員と関わりながら教職の魅力を実感することが,職能成長に寄与することが示唆された。これらの知見は,多様なキャリアの教員が協働し,成長機会を共有できる学校組織づくりの重要性を明らかにするものである。
  • 対話を通して教師の働きがいをつなげる
    小野 耕司
    2026 年8 巻 p. 97-110
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は教職員の協働性、心理的安全性が低い職場において、「対話」の場を設定することで、教職員の心理的安全性と働きがいが高まり、協働が促進されるといった変容がもたらされることを示すことである。こうした変化を通じて、学校教育目標を具現化する手がかりが得られことを提示する。教職員集団の特徴と教職員が何にストレスを感じているかを明らかにするために、事前と事後に質問紙調査を行った。インタビュー調査は、教職員集団の変容を明らかにするために、事前調査と「対話」後と事後調査を行った。学校教育目標の共通理解と「対話」の場を通して教職員の変容を調査した。「対話」をすることで明らかになったことはお互いの意見や立場を理解して話し合うことで、安心感を生み出し、自発的な協働が生まれることがあった。そして、学校教育目標に向けて協働し課題を乗り越えることで働きがいを感じることができていることを示した。
  • 齋藤 健, 磯部 征尊, 倉本 哲男, 伊藤 大輔
    2026 年8 巻 p. 111-125
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,校内研修において,「研修転移理論」を導入した研修計画(以下,やりきるシステム)を構築し,二つの下位目的を設定する。一つは,やりきるシステムが教員個人と組織全体にどのような影響を与えることができるのかを検討する。二つは,研究指定校の知的財産をどの程度継承していくことができるのかを分析・検証する。研修の構造設計は,研修の「前」から「後」を一体として捉え,七つのサイクルを意識した研修計画を作成・実施した。本研究では,やりきるシステム(研究指定校の知的財産を継承するための方法)を構築・実施・評価したことで得られた成果は,以下の2 点に整理される。 今回抽出した対象者に共通していた点は,やりきるシステムが,各対象者の自己調整力の向上を示唆する効果を有していたこと。 やりきるシステムは,人事異動を要因とし,知的財産の継承が困難だったことへの課題を脱却すると共に,研究指定校の知的財産を他校に拡散できる可能性を示唆する結果が得られたこと。
  • 学校ブランディングから誕生した北関東初の学びの多様化学校開校について
    園部 高生
    2026 年8 巻 p. 126-135
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,北関東初の学校法人が運営する学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の開校に至る経緯と全国の学びの多様化学校における先進事例を調査した結果から,今後の学びの多様化学校経営のあるべき姿を明らかにすることである。学びの多様化学校の認知度は低く,不登校問題に苦しむ当事者にも知られていない。学びの多様化学校は,フリースクールとは異なる新たな不登校支援の可能性を秘めている。先進校の調査結果から学校法人が運営する学びの多様化学校は学校ブランディングの視点が色濃い一方で,公教育においては教育委員会と学校との連携力が強みであることが明らかになった。公立・私立の強みと特徴を分析することにより,より高度な不登校支援の実現が期待される。また,少子化が進む中で不登校児童生徒が激増している現状を踏まえ,公立と私立がさらなる連携を図る教育の可能性を考察し,官民が一体となった不登校支援のあり方を示した。
  • 働きやすさと働きがいを両立できる職場環境の改善を通して
    西 康勝
    2026 年8 巻 p. 136-145
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    学校現場では、教員の人員不足やメンタルヘルスの問題など、課題が山積している。また、学校における働き方改革をはじめとする教員の勤務環境が改善されていないなど、教職の魅力低下が危惧されている。さらに、沖縄県の教職員の病気休職者は年々増加傾向にあり、教職員の働き方改革に加え大きな社会問題となっている。そこで、沖縄県公立学校における働き方改革推進計画では、働き方改革の目的実現のために「3 軸・6 視点」の実感の向上を目標に掲げ、教職員が「働きやすさ」「働きがい」「心身の健康」を十分に実感できる環境整備を推進している。その実現に向けて、学校の要である教頭がイノベーションを起こすことで、教職員・生徒のウェルビーイングが高まるであろうと考える。ウェルビーイングな職場は「創造性も生産性も高く、離職者が少ない」というエビデンスがある。よって、ウェルビーイングを確保することで、教職員自らの人間性や創造性が高まり、生徒に対してより良い教育を行うことができるであろうと考え、本主題を設定した。
  • 5名の「探究型研修」担当者の経験に着目した実践的研究
    飯干 新, 佐藤 悠人, 宮久保 雅行, 佐瀬 正伸, 森 茂之
    2026 年8 巻 p. 146-161
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、知識伝達型から探究型の研修形態への移行に伴い、研修担当者が抱く葛藤と成長認識を明らかにすることを目的とした。独立行政法人教職員支援機構(NITS)に所属する研修担当者5 名を対象に、葛藤の経緯や自身の変容を問う質問紙調査を実施し、自由記述回答をSCAT 分析により質的に検討した。分析の結果、「アイデンティティ形成」「参加者の主体性尊重と介入」「成果の不確実性」「従来アプローチとのギャップ」という四つの葛藤が抽出された。担当者は、これらの葛藤への対処を通じ、「自己の研修観の再構築」「対話と協働の価値理解」「研修デザインの変革」「葛藤の受容」「省察力の向上」という五つの成長を認識していた。結論として、葛藤を解消すべき課題としてではなく専門性深化の契機として受容する姿勢の重要性を示唆し、不確実な学びを伴走する教師教育者の新たな専門性開発の在り方を提示した。
  • 総合的な探究の時間の充実を通して
    石川 勝久, 棚野 勝文
    2026 年8 巻 p. 162-175
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、学校組織における「機能の隙間」を埋めることにより、教員間の協働体制を確立することである。一般企業を参考としたピラミッド型学校組織では、企業と同様の課題が起こる可能性があると考えられ、「戦略的働きかけ」や 「ヒューマンプロセスへの働きかけ」を誰が担当するか曖昧となっており、学校組織の構造おいても誰も着手していない「機能の隙間」が存在することが明らかとなった。そこで本研究では、組織の機能の隙間を埋めるため、探究推進部会を新設し、まずは総合的な探究の時間の実践を通じて教員間の協働体制の実現を目指した。結果として、一定の効果を得ることができたことから、本研究の成果は、学校組織の持つ「機能の隙間」を埋めるための組織開発を進める基礎的知見になると捉えられる。
  • 大田 誠, 中原 育代, 宮川 聡美, 小西 哲也
    2026 年8 巻 p. 176-188
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、人口減少社会における地方の学校経営において、地域に根ざしたコミュニティ・スクール(CS)を実現する校長のリーダーシップと学校運営協議会の機能を実行的にするためにどのように工夫しているかを分析する。具体的 にはCS 制度の全県展開が進む山口県において、①学校ごとの環境の違いを踏まえて校長がCS 経営をどうとらえるか、②学校課題や地域課題に対して、校長はどのようにCS 経営を実現するか、③総合的な学習の時間における地域課題を踏まえた地域カリキュラムの構築をどう実現するかについて、3 人の校長の事例を通して検討する。その結果、CS の機能を実質化するためには、他校の模倣ではなく、自校の実情に応じた戦略的な判断と地域の特色を生かした教育課程編成が不可欠であることが明らかになった。
  • 学級活動による人間関係形成支援を通して
    池田 祐加, 伊住 継行
    2026 年8 巻 p. 189-197
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,学校統廃合前から児童同士の人間関係形成を促すことを目的に,統廃合予定であったA 県B 郡の公立小学校3 校の第4 学年33 名を対象として,ピア・サポートを援用した学級活動(2)の授業を3 単位時間実践し,授業時の様子と振り返りアンケートから教育成果を検証した。その結果,児童の様子から,学校規模による人間関係や意思決定の傾向の違いを確認しつつ,適切なコミュニケーションや配慮の必要性についての気づきを促すことが確認された。また,授業の楽しさや理解度のアンケートでは80% 以上が肯定的であり,本実践が有効に機能していたと考えられる。これらのことから,統廃合後の集団生活に向け,互いに支え合う関係性の基盤形成が促進されたと言える。最後に,本実践を踏まえ,統廃合に伴う環境の変化への適応を促すため,人間関係形成に係る知識・技能を育成しつつ,互いに支え合う学級環境を整備する必要性を検討した。
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