2022 年 4 巻 p. 27-41
本研究の目的は、先行研究の蓄積が少ない宿題について概観した上で、小学校における教師と保護者の宿題に対する意識を調査分析し、双方の捉え方を検討することを通して、新たな側面から宿題研究の視座をつくることを試みるものである。そのために、宿題についての先行研究を概観した上で、フォーカス・グループ・インタビューの手法を用いて、教師5名と保護者5名の宿題に対する意識の調査分析を行った。その際、3つの資料から宿題に内包される8つの概念を抽出し、調査分析の視点とした。分析の結果、教師と保護者ともに宿題についての捉え方は個々によって異なっており、その価値観も揺らぎながら存在していることや、宿題は目的が不明確であること、教師と保護者の学校教育と家庭教育の捉え方にずれが生じていること、宿題は双方に負担感を含んでいることを明らかにした。