抄録
本研究の目的は,学校組織における外的要因としての教育委員会と地域住民の影響が,学校改善・地域社会の効果に及ぼす作用について解明することとである。本研究では,先行研究の知見を基に,学校改善の内容,学校改善・地域社会の効果,教育委員会・地域住民の影響を測定するための尺度,及び,仮説モデルを作成し,公立小学校に勤務する副校長を対象とした質問紙調査を行った。得られたデータに対して,探索的因子分析を行い,各尺度における構成概念を明らかにし,共分散構造分析により,多重媒介モデルを検証した。その結果,教育委員会・地域住民の影響は,学校改善・地域社会の効果に対して,直接効果,媒介効果,総合効果を示した。地域住民による教育活動に関する意見の申し出は総合効果を示したことから学校改善の要諦であること,地域住民のソーシャル・キャピタルの機能が学校改善に対して重要な影響を及ぼすこと,教育委員会による物的・財政的支援が負の直接効果を有するため学校改善の内容を媒介する必要があることが明らかになった。