Reproductive Immunology and Biology
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学会賞受賞論文
Epstein-Barr virus-Induced gene-3(EBI3)knockoutマウスにおける 精巣内免疫微小環境の変化
寺山 隼人平井 宗一曲 寧内藤 宗和畑山 直之林 省吾善本 隆之坂部 貢伊藤 正裕
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2013 年 28 巻 p. 19-25

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抄録
Haploid germ cells (=精子細胞・精子)は,様々な自己抗原を含んでいる。これら自己抗原はSertoli細胞間の結合で構成される血液-精巣関門(blood-testis barrier=BTB)によって免疫系からある程度護られているとされている。また,精巣内で分泌されるサイトカインが免疫学的抑制環境と関係しているという報告もある。最近,免疫抑制効果を示すサイトカインとして新たにIL27やIL35が同定され,その共通分子であるEpstein-Barr virus-Induced gene-3(EBI3)のknockoutマウスにおいて,様々な自己免疫疾患の病態増悪を認めることが報告されている。しかしながら,精巣においてEBI3に関する報告は未だない。本研究では12週齢雄C57BL/6マウスにおいて精巣内のEBI3発現を調べると共にEBI3を欠損させること(EBI3KO)によって精巣免疫微小環境にどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果,正常マウスの精巣内では,EBI3発現は間質細胞および精子細胞・精子の頭部に検出された。EBI3KOマウスの解析では,精細管中に多核巨細胞の増加や間質中にCD4,CD8,B220陽性細胞の浸潤が認められた。さらに,精子細胞・精子に対する自己抗体が血清中に認められた。EBI3は精巣微小環境において免疫学的抑制機構の形成や維持に関わっている可能性が示唆された。
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© 2013 日本生殖免疫学会
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