Reproductive Immunology and Biology
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自然発症糖尿病モデルSDT雌ラットにおける卵巣摘出およびエストロジェン処理が糖尿病病態に及ぼす影響について
篠原雅巳及川寿浩佐藤嘉兵
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2005 年 20 巻 1 号 p. 5-9

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抄録
SDT雌ラットの糖尿病病態における性ホルモンの影響を検討するために、SDT雌ラットにおいて卵巣摘出および卵巣摘出後の雌性ホルモン投与を行い、体重および血糖値測定ならびに膵島病変観察を行った!その結果、卵巣摘出(OVX)群の体重は偽手術対照(sham operation)群および卵巣摘出後にestradiol benzoateを投与した群(EB投与群)に比べて有意な増加を示し、EB投与群の体重はsham operation群およびOVX群に比べて有意に低値を示した,OVX群の血糖値はEB投与群に比べて有意に高値を示し、EB投与群の血糖値はsham operation群およびOVX群に比べて有意に低値を示したが、各群の平均血糖値はほぼ正常範囲内であった。膵臓の病理組織学的観察では、sham operation群において膵島内および膵島周囲に炎症性細胞の浸潤、線維芽細胞の増生およびヘモジデリンの沈着が認められ、OVX群においてこれらの変化が増悪化した。一方、EB群においては膵島の構造は正常と差を認めなかった。以上の様に、エストロジェンはSDT雌ラットにおける糖尿病態の進行に対して予防的に作用している可能性が示唆された。
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© 日本生殖免疫学会
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