保険学雑誌
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「保険金等の支払いをめぐる再検証問題」―平成19年度大会シンポジウム―
保険金等の支払い問題と保険監督のあり方
出口 正義
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2008 年 2008 巻 601 号 p. 601_53-601_69

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抄録
監督当局のオフサイト・モニタリングの課題は,保険会社でなく保険契約者等の生の声に耳を傾け,そこから保険会社の業務運営の問題点を早期に発見し,早期に是正することが重要である。すなわち監督当局が直接苦情対応を行なう必要がある。先進各国で行なわれており,日本でそれを妨げる事由はない。この苦情対応による問題の早期発見が監督当局の手腕(苦情分析能力)の見せどころであるともいえる。
保険商品はいわば法的商品であるがゆえに一般大衆には分かりにくいものである。また,保険契約が長期のものであるがゆえに一般大衆はその内容を忘れがちとなる。請求漏れを防止するには,保険契約者,被保険者だけでなく,保険金等を受け取るべき者,すなわち一般大衆にとって,保険の内容はできるかぎり明確かつ平易で,簡素なものである必要がある。監督当局の商品審査のあり方を見直す必要がある。
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© 2008 日本保険学会
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