保険学雑誌
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「医療保障制度と官民の役割分担」―平成25年度大会共通論題―
公的医療保障制度の存在下における民間医療保険の役割
小坂 雅人
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2014 年 2014 巻 625 号 p. 625_33-625_50

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抄録
公的医療保障制度が存在する先進諸国における民間医療保険は「実損填補型」が主流である。その機能は,公的保障の補完機能,補足機能,二重機能,代替機能の4種類に大別でき,各国の公的医療保障制度の多様さに対応して,複数の機能を組み合わせた民間医療保険が提供されている。また,公的医療保障制度そのものにも,給付内容と保険料の選択制や,保険者機能の民間委託といった民間的要素を一定程度組み込むことで,運営の効率化や選択肢の拡大が図られている。我が国では「定額給付型」の民間医療保険が広く普及しているが,在院日数の短縮や先進的で高額な医療の登場によって,「定額給付型」ではカバーし切れない患者負担が生じ始めている。この様な環境変化と,諸外国における事例は,公的医療保障制度を基軸に置きつつ,制度に内在する課題を「実損填補型」民間医療保険が補うといった,今後の民間医療保険に求められる新たな役割を示唆していよう。
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© 2014 日本保険学会
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