【目的】肺切除患者における術前の運動耐容能低下が術後に及ぼす影響について検討した.
【方法】VATSが施行された25例(平均年齢69.8±6.9歳)を対象とした.評価項目は術前と術後7日目の6MDと6MDの回復率,創部痛(NRS),術前の心機能としてLVEF,血液データとして(BNP,ALB値),BMI,喫煙指数,肺機能(1秒量,1秒率,VC,%VC,%DLCO),麻酔時間と出血量,術後の歩行開始日数,歩行自立日数,理学療法日数,入院日数,合併症の有無とした.統計解析は術前6MDに関連する因子をSpearmanの相関係数を用い,術前6MDを中央値 390 mで良好群と低下群の2群に分け比較した.
【結果】術前6MDと術後6MD,VC,年齢で有意な相関が認められた.良好群と低下群の比較では歩行自立日数,VC,%DLCO,術後合併症において有意な差が認められた.
【結論】術前運動耐容能の低下には年齢,VCが関係し,歩行自立期間の延長,術後合併症に影響を及ぼす可能性が示唆された.