保険学雑誌
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債務免責者問題の解決策としての責任保険の効果
-保険の経済学的分析を通じて-
桑名 謹三
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2014 年 2014 巻 626 号 p. 626_71-626_91

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抄録
不法行為特別法を定めるとともに,その責任をカバーする責任保険を強制付保化する政策が国内外で実施されている。自賠責保険や原子力保険の強制付保化政策がその政策に該当する。債務免責者問題とは,不法行為における加害者が資力不足のときは,その防災活動が低調になり,結果として社会的損失が生じることである。海外における責任保険の強制付保化政策は被害者救済策という意味合いに加えて,そのような債務免責者問題の解決策として位置づけられている。本論では,責任保険の強制付保化政策が,債務免責者問題の解決策として有効に機能しうる条件について,先行研究の知見を整理するとともに,先行研究では無視されていた,付加保険料の効果をも分析する。その結果,保険料が保険契約者のリスクを適切に反映する場合には,責任保険は債務免責者問題の解決策として有効に機能することが分かった。
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© 2014 日本保険学会
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