土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
水田および浅層地下水中の脱窒による環境浄化
江口 定夫
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2012 年 120 巻 p. 29-38

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抄録
土壌・地下水系内の脱窒は,地球規模の窒素(N)循環において最も大きなブラックボックスを形成すると共に不確実性が非常に大きく,様々な環境中における現場実測値の蓄積とこれを定量的に推定するための簡易モデルの開発が強く求められている.環境中では,脱窒の定量は困難であり,代わりに N除去量が測定される.水田の N 除去速度は,これまで多くの実測値が蓄積され,実践的・汎用的な簡易モデルが開発されつつある.一方,浅層地下水では,現場の三次元的な不飽和・飽和水移動及び溶質輸送を定量あるいは推定した上で N 除去を定量した例はほとんど無い.今後,水田ではさらに様々な条件下での実測値の蓄積とその簡易モデル化が必要であり,浅層地下水ではまず現場実測値の蓄積が必要である.これらの場面で,水移動・溶質輸送の測定・解析を専門とする土壌物理学が果たすべき役割は大きい.
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© 2012 土壌物理学会
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