保険学雑誌
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〔経済・経営・商学系〕
「協同組合保険」のアイデンティティ
江澤 雅彦
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2015 年 2015 巻 630 号 p. 630_103-630_120

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抄録
現代の協同組合保険は,構成員の量的大規模化および質的多様化によって,構成員の自治意識の希薄化が指摘され,それが在日米国商工会議所等からの会社保険との統一規制要求にもつながっている。平均保険料式の仕組みが種々みられるものの,保険料と保険金の授受という面では,会社保険との異質性をあまり強く主張できないという点は認めざるをえない。協同組合保険にとっては,生活保障設計,生活上のリスクの処理といった具体的な問題を組合員が相互に学習し,かつ組合員からの意見がその運営に迅速に反映されるという「組合員参加」の徹底がそのアイデンティティ確保に有用である。
また,非営利保険としての協同組合保険には,「経済的弱者の相互扶助」を目指すことにその存在意義が見いだされる。各種規制による阻害要因はあるものの,「生協版マイクロクレジット」としての信用生活協同組合の活動に,協同組合保険実施団体が資金提供者として果たすべき役割は大きく期待されている。
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© 2015 日本保険学会
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