保険学雑誌
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【査読済み論文】
近代個人保険需要の実証研究
-生命保険市場発展の核心的原動力-
福地 幸文
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2016 年 2016 巻 633 号 p. 633_1-633_31

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抄録

保険業法制定後,1902-39年度の個人保険市場の保有契約増減率(年平均)は件数+8.6%,金額+13.7%(実質+10.8%)で,生産国民所得増減率(年平均)+8.1%(実質+4.6%)を上回る高成長を遂げた。この発展の基底には生保の約束(契約)の履行に対する国民の信頼があった。それは生保産業の支払能力向上に向けた各社の経営努力と政府の監督強化ならびに保険金等の給付実績の積み重ねにより醸成された。1918年には有配当養老保険が同市場の典型となり,平時は貯蓄,スペイン風邪等の危機の際には保障が国民に意識された。実質所得,名目金利および総人口を用いた回帰モデルは1902-39年度の保有契約高増減率に対し6割強の説明力を有した。

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