抄録
「金融リテラシーマップ」において,金融リテラシー教育の目標の一つとして,「情報を収集し,商品性に関する理解を深め,比較検討する」ことが掲げられているように,保険加入において複数の商品を比較する習慣を持っていることは非常に重要な金融・保険リテラシーであると考えられる。そこで本稿では,生命保険文化センターが2015年に実施した「平成27年・生命保険に関する全国実態調査」の個票データを使って,どのような保険契約者が保険加入において比較を行っていたかを明らかにする。さらに本稿では,比較を行った上で保険に加入した人ほど,事後的な満足度が高いことを明らかにした。これは契約者が十分に理解し比較検討を行った上で保険に加入するようになることを目指す改正保険業法の考え方の妥当性を示している。