保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
「マイクロ保険の現状と課題」—令和5年度大会共通論題—
マイクロ保険の意義とその規制課題
—マイクロ保険研究総論—
梅津 昭彦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 2024 巻 664 号 p. 664_35-664_64

詳細
抄録

近年,新興国市場で注目されているマイクロ保険についてその現状を紹介し,特にその規制に向けた論点整理をマイクロ保険の関係者であるその提供者と仲介者を中心に行う。そのためには,そもそもマイクロ保険とは何かという意義付け(定義)が必要となるところ,本1共通論題のための研究会ではマイクロ保険を,「低所得者層に向けられた,そしてそれらの者が抱えるリスクを付保するために設計された保険であり,保険契約者または被保険者となる者に利益が通常の保険の場合よりも一層配慮されなければならないもの」と理解した。ただし,マイクロ保険も私的保険のひとつであり,保険の一般原則に基づき運営されることが基本である。新興国を中心にマイクロ保険を規制するための特別の法令,または当該国の保険法(保険業法)の中でそれを規制する動きが見られるが,マイクロ保険の対象である低所得者層の保護を主眼に規制内容も柔軟に対応なければならない。

著者関連情報
© 2024 日本保険学会
前の記事 次の記事
feedback
Top