インターンシップ研究年報
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中小企業における、就職に結びつける回路としてのインターンシップ : 株式会社ディグの事例(II 資料の部)
古閑 博美牛山 佳菜代
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2012 年 15 巻 p. 31-35

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抄録

本研究は、中小企業の優良インターンシップを研究し、中小企業のインターンシップの取組みや成果を明らかにしようとするものである。本稿では、株式会社ディグの事例を紹介し、インターンシップが採用の回路となりうるのか、なるとすればどのような取組みが必要かを検討した。事例からは、中小企業におけるインターンシップは、(1)トップの目的意識が明確である、(2)プログラムがインターンシップ生の支持を得ている、(3)人材確保を視野に入れていることが就職に結びつく重要な回路となることがわかった。インターンシップ・プログラムが充実し、トップが自らインターンシップ生を指導する意識や態度はインターンシップ生の意識を高め、その後の学習につながるものであり、インターンシップの成果といえる。中小企業がインターンシップを実施する場合、プログラムや経費等の点で困難が伴うことが予想される。中小企業は人材確保への投資を戦略的に行う必要があり、それにはトップがリーダーシップを発揮し、魅力あるインターンシップ・プログラムを実施することが効果をあげる。中小企業にとって、インターンシップを将来の採用に向けて有効に活用することは、人材獲得の鍵となるものである。中小企業は、人材確保を念頭に、時間的・経済的な面での有利性を冷静に判断し、トップが強いリーダーシップを発揮することが重要である。中小企業の優良インターンシップの事例を研究することは、我が国の中小企業の力を見直すことに通じる。

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© 2012 日本インターンシップ学会
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