2017 年 20 巻 p. 1-9
本研究は、北九州市立大学が正規授業外で行う地域連携活動に焦点をあて、一年間の地域連携活動を通して、学生がどのようにして社会人基礎力を向上させていくのかという点を、学生が活動に取り組む中で生じる心理的、行動的変化に注目しながら、その成長のきっかけとそれを促す仕組みついて検討した。その結果、本研究から導かれる成長のきっかけは以下である。まず、参加者が活動の初期段階で様々な問題に直面し、それらを克服するためには、上級生の存在が大変重要な役割を果たしている。次にこれらの問題を先輩からのアドバイスによって克服することで、視点の広がりや責任感、あるいは、帰属意識といった心理的な変化が生じる。そして、行動面でも他者を思いやる気持ちから工夫を凝らした情報伝達行動やプロジェクト全体を見る目を持ちはじめ、活動する目的を深く考えることができるようになる。そのような成長を促す仕組みについて、人材マネジメントの議論を参考に考察した。