本研究は、北九州市立大学が正規授業外で行う地域連携活動に焦点をあて、一年間の地域連携活動を通して、学生がどのようにして社会人基礎力を向上させていくのかという点を、学生が活動に取り組む中で生じる心理的、行動的変化に注目しながら、その成長のきっかけとそれを促す仕組みついて検討した。その結果、本研究から導かれる成長のきっかけは以下である。まず、参加者が活動の初期段階で様々な問題に直面し、それらを克服するためには、上級生の存在が大変重要な役割を果たしている。次にこれらの問題を先輩からのアドバイスによって克服することで、視点の広がりや責任感、あるいは、帰属意識といった心理的な変化が生じる。そして、行動面でも他者を思いやる気持ちから工夫を凝らした情報伝達行動やプロジェクト全体を見る目を持ちはじめ、活動する目的を深く考えることができるようになる。そのような成長を促す仕組みについて、人材マネジメントの議論を参考に考察した。
本研究は、工学系大学における2~3週間程度のいわゆる就業観醸成型インターンシップの質保証の取り組みや成果を明らかにしようとするものである。本稿では、工学院大学の取り組み事例をインターンシップエントリーシートや学生アンケートを用いて質保証の面から再検証した。参加目的の類型化やエントリーシート分析をもとにした質マネージメントの方法を提示し、参加目的調査やインターンシップ先調査からみられる工学系大学のインターンシップとしての特徴や求められることを示した。長期インターンシップや海外インターンシップなど、様々なインターンシップの形態が展開されるなか、ともすると新たな形態のインターンシップを導入していくことに目がいきがちになるが、比較的普及している短期インターンシップにおいても就業観醸成という本来の目的からするとまだまだ改善の余地が残されている。
本稿では本格実施から2年目を迎える「いしかわインターンシップ」の取組みから、地方都市において受け皿となる中小企業が、インターンシップ実施に際して抱えている課題、ならびにその解決に向けた具体的な支援策について紹介していく。日本においてインターンシップの実施率を高めるためにも、中小企業の参加率の向上は大きな課題の一つであり、中小企業の参加率の高いいしかわインターンシップの事例から、キャリア教育の一環として中小企業の負担を少なく運営していくための効果的なインターンシップの展開方法について考察を行った。
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