日本関節病学会誌
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第47回会長推薦論文
変形性足関節症のMRIによる病態解析
~距骨後方に巨大な骨棘が生じる症例の特徴~
三井 寛之平野 貴章秋山 唯遠藤 渉軽辺 朋子原口 直樹仁木 久照
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2020 年 39 巻 2 号 p. 119-126

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抄録

目的 : 変形性足関節症 (足関節OA) には, 距骨後方に巨大な骨棘を形成し, 治療に悪影響を与える例がある。今回我々は足根骨位置異常が骨棘発生に関与すると考え, 距骨後方に1cm以上の骨棘を有す例のX線アライメントとMRIにおけるBone Marrow Edema (BME) の発生様式を調査した。

方法 : 対象は当院で内反型足関節OAと診断されMRI検査を実施した68例70足。X線所見は高倉田中分類, 内果傾斜角 (TMM), 果間傾斜角 (TBM), 距骨傾斜角 (TTA), 距骨第1中足骨角 (LTMT), 側面距踵角 (LTC) を計測した。MRIは距腿, 距骨下, Chopart関節を22領域に分けBMEの有無を判定した。距骨後方の骨棘の有無で骨棘 (+) 群, 骨棘 (-) 群の2群とし, BME発生率, X線学的計測値を比較, また骨棘形成と高倉田中分類, BME発生との関連も調査した。

結果 : 骨棘 (+) 群は70例中30例, 高倉田中分類の病期進行とともに骨棘の発生率は高くなった。また骨棘 (+) 群ではLTCは有意に低値となった。さらに内外果関節面のBME発生と骨棘形成に関連がみられた。

考察 : 末期足関節OAにおける距骨後方の骨棘は足関節後方でインピンジし, 人工足関節置換術後の予後不良因子となる。距骨後方に骨棘を有す例では, 距骨は背屈と内旋動揺性を有し, 距腿関節内で内外果と衝突すると予想された。距骨後方の骨棘形成には距骨を起点とした足根骨位置異常が関与すると考えられた。

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