日本関節病学会誌
Online ISSN : 1884-9067
Print ISSN : 1883-2873
ISSN-L : 1883-2873
原著
矢状面における大腿骨の遠位骨幹に対する骨幹端・骨端の角度
長嶺 隆二川崎 展勝呂 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 40 巻 2 号 p. 104-109

詳細
抄録

目的 : 大腿骨の矢状面において, 遠位骨幹・骨幹端・骨端の矢状面アライメントを計測し, その意義を検討した。

対象と方法 : TKA前182膝の膝側面像において, 骨端の矢状面角度を示す指標として, Blumensaat線 (Line B) と, 骨端最前方点と最後方点を結んだ線 (Line E) の2つの線を設定した。遠位骨幹前方皮質 (Line D) に対する骨幹端前方皮質 (Line M) のなす角度Angle M, Line Mに対するLine Bのなす角Angle B, Line Mに対するLine Eのなす角Angle Eを計測した。

結果 : Ange M, Angle B, Angle Eの平均は, それぞれ, 3.2度, 32.5度, 94.8度であり, Angle Mに対するAngle BとAngle Eの相関係数は, 0.33と0.26であった。Angle Mは年齢と正の, 身長・体重と負の相関を示した。高齢になるほど, 遠位骨幹に対して骨幹端は屈曲し, 逆に骨端は骨幹端に対して伸展した。

考察 : 加齢とともに骨幹に対して骨幹端は屈曲していくが, 骨端関節面は脛骨関節面と適合を保つために伸展し, 矢状面アライメントを保っていると考えられた。

結論 : 大腿骨矢状面において, 遠位骨幹・骨幹端・骨端の矢状面アライメントは年齢とともに変化する。

著者関連情報
© 2021 日本関節病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top