日本関節病学会誌
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原著
当院における関節リウマチ患者の骨密度検査と骨粗鬆症治療の実態
北折 俊之高塚 和孝髙木 治樹
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2022 年 41 巻 2 号 p. 19-26

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抄録

目的:関節リウマチ(RA)に続発する骨粗鬆症(RA-OP)に対してDual Energy X-ray Absorptiometry(DXA)法による骨密度検査(以下,DXA検査)の関連性を明らかにすること。

方法:当施設の電子カルテデータから40歳以上の女性RA患者1,452例を抽出し,年齢,Body Mass Index(BMI),ステロイド薬(以下,PSL)の服用率・服用量,骨折歴の有無,DXA検査介入の有無,Young Adult Mean値(YAM値),治療介入の有無を調査した。DXA検査を複数回施行された症例ではYAM値が増加した患者割合を算出した。変形性膝関節症(OA)の女性患者4,794例を対照とした。

結果:RA患者はOA患者より低BMIで,PSL服用率が35.7%と高く,骨粗鬆症のリスク因子を複数有していた。大腿骨近位部DXA検査ではYAM値<70%の患者割合が60歳代以降に増加し,OA患者との有意差を認めた。RA患者へのDXA検査介入率は43.6%で,検査介入症例の治療介入率(65.1%)は検査介入のない症例の治療介入率(7.7%)よりも有意に高かった。また,治療介入のあるRA患者ではYAM値が改善した患者割合が2.4~2.5倍に増加した。一方,PSL服用のないRA患者はPSL服用RA患者と比べてDXA検査介入が2分の1,治療介入が3分の1と低く,介入が見逃されている可能性が指摘された。

考察:RA-OPにおけるDXA検査介入と治療介入の関連性が示唆され,DXA検査介入は良好な治療介入に貢献しうると考えられた。DXA検査介入のない患者やPSL服用のない患者では治療の機会が見逃されやすく注意を要する。

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