日本関節病学会誌
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原著
変形性膝関節症の重症度は体外衝撃波の短期治療効果に影響を与える
中里 伸也赤木 將男
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ジャーナル 認証あり

2023 年 42 巻 4 号 p. 321-326

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抄録

目的:本研究の目的は変形性膝関節症(膝OA)の重症度が体外衝撃波治療(ESWT)の短期治療効果に与える影響を明らかにすることである。

方法:対象は2020年9月~2021年3月にbone marrow lesionが認められた膝OAに対し当院でESWTを行った65例72膝ののうち,治療前と治療開始後3か月においてKnee Injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)アンケートに回答した28例31膝を対象とした。膝OA重症度はKellgren-Lawrence(KL)分類を用いて評価した。

結果:31膝全体のKOOS平均スコアは治療前の54.0(±21.8)から3か月後の68.1(±21.5)へと有意に改善した(対応のあるt検定,n=31,P<0.001)。KL分類別では,KL2では52.0(±23.1)から76.3(±15.9)へ,KL3では49.2(±19.8)から64.8(±23.6)へ,KL4では59.3(±23.4)から67.4(±22.3)へと改善した(対応のあるt検定,それぞれ,n=6,12,および,13ですべてP<0.01)。KL分類別のスコア改善平均値は,KL2では24.2(±15.8),KL3では16.7(±14.2),KL4では8.1(±10.5)であり,重症度が高くなると治療によるスコア改善が小さくなる傾向が認められた(一元配置分散分析,P<0.05)。

結論および考察:ESTWによるKOOSの改善効果は,OA重症度の低いものがより高い傾向があった。しかし,KL3あるいは4でも改善率の高いものがあり,ESWTのKOOS改善効果に影響を与える他の因子についてさらなる調査検討が必要と思われる。

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