日本乳酸菌学会誌
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ロイテリン生産性乳酸菌の検索
中西 載慶徳田 宏晴安藤 達彦矢島 瑞夫中嶋 智恭田中 治大桃 定洋
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2002 年 13 巻 1 号 p. 37-45

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抄録

ロイテリンは,Lactobacillus reuteri によって生産される低分子量の抗菌性物質で,各種の細菌,酵母,かび類の増殖を阻害することが報告されている。本報では,サイレージ発酵への応用を目的に,ロイテリン様物質(RLC)を生産する乳酸菌を検索するとともに,生産されたRLCの抗菌スペクトルの諸性質と分離・精製および同定について検討した。
保存乳酸菌148株の培養菌体をグリセリン溶液と接触させる静置培養法により,6株のRLCを有する乳酸菌を選抜した。このうち,Lactobacillus coryniformis 394が最も高い生産性を示し,上記培養時に0.5%CaCO3を添加し,25℃,12時間嫌気的に保持することにより最大生産値が得られた。RLC画分をHPLCおよびTLCにより精製し,H-NMRとC-NMRにより検討した結果,本画分中の抗菌性物質はロイテリン(β-ヒドロキシプロピオンアルデヒド)であると同定された。一方,ロイテリンを含むこの培養上清液は,殺菌作用を有しサイレージ発酵に有用な乳酸菌類を除く種々の細菌類,酵母およびかびの増殖を強く阻害することから,サイレージ発酵への応用の可能性が示唆された。

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