抄録
我々は包括的に睡眠を評価し,災害時における睡眠環境面からの改善策について検討する ことを目的とした。若年健常男性9 名を対象に災害時の避難所泊や車中泊を想定した睡眠環境を実験的に再現し,冬季に睡眠実験を実施した。その結果,自宅で行った対照試行と比較し, 避難所泊や車中泊を想定した睡眠環境が入眠に及ぼす影響に差はみとめられなかったが,避難所泊や車中泊試行では寒さや寝返りのうちにくさが睡眠維持を妨げる可能性が客観的にも主観的にも示唆された。避難所泊では寒さを防ぐために段ボールベッド等の敷き寝具を工夫すること,車中泊では寝返りを打ちやすくするためにクッション等を使用して段差をなくすことで, 客観的・主観的な睡眠の改善が見込まれる。