:睡眠を測定する場合,その手段として客観的評価と主観的評価が用いられるが,特に主観的評価には,相談者の「悩み・つらさ」が反映されているため,その心理的状態の変化を捉える上で,主観的評価は極めて重要なツールである。本稿では,睡眠の主観的評価として,睡眠ダイアリーおよび自記式尺度について解説した。睡眠ダイアリーは,相談者の毎日の睡眠状態の変化を「見える化」するために用いられる。自覚的な睡眠状態をアセスメントする上でのゴールドスタンダードとして推奨されている。自記式尺度は,比較的簡便に睡眠問題の変化を測定することができる。特に,Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)とAthens Insomnia Scale(AIS)は,睡眠の質や不眠症状を測定する尺度として世界各国で翻訳されており,ゴールドスタンダードといえる。その他にも,日中症状として眠気,休養感を測定するEpworth Sleepiness Scale(ESS)やRestorative Sleep Questionnaire(RSQ)についても解説した。最後に,主観的評価だけではなく,客観的評価も組み合わせて実施することの重要性について述べた。