睡眠と環境
Online ISSN : 2758-8890
Print ISSN : 1340-8275
昼寝の功罪とパワーナップ
林 光緒
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 18 巻 1 号 p. 17-24

詳細
抄録

昼下がりの眠気は昼食や睡眠不足の影響を除いても生じる。このことから昼下がりの眠気は生物リズムと関連していると考えられている。この眠気対策の一つが昼寝である。しかし,1時間以上の長い昼寝をとると種々の疾患リスクが高まるだけでなく,目が覚めた直後にだるくなる原因となる。これを睡眠慣性という。さらにその日の夜間睡眠が妨害されることも多い。このような悪影響は昼寝の最中に徐波睡眠(睡眠段階N3)が出現することに起因している。これに対して15~20分程度の短時間の昼寝では徐波睡眠はほとんど出現せず,このような悪影響が生じにくいばかりか,眠気が低減し,パフォーマンスが向上するなどの効果が高まる。短い昼寝には睡眠段階N1とN2が含まれているが,昼寝の回復効果には N2 が必要であり,N1だけではほとんど効果がない。ただし,このような短時間の昼寝でも睡眠慣性が生じることがあり,この対策として覚醒刺激法,カフェイン摂取,自己覚醒などの方法が有効である。

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本睡眠環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top