抄録
湖沼や河川水に溶存する有機物のうち、難分解有機物と総称される有機物群は、組成、分子量、化学構造などの分子情報、起源、行方のいずれにおいても情報が少なく、その動態と地球化学的役割がほとんど解明されていない。本研究では、溶存難分解有機物の主成分と目されている腐植物質について、これを分離し、化学的性質を明らかにすることを試みた。試料として琵琶湖と集水域河川水を用いて、腐植画分を構成する数種類の成分の分離を行い、吸光スペクトル、誘導体化反応、推定分子量などを基に化学像を検討した。また水中での濃度分布と錯形成性についての知見も得た。