日本図書館情報学会誌
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論文
学校図書館員と教員による指導上の役割分担形成プロセス
─学校図書館を利用した授業における協働の分析─
庭井 史絵
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2017 年 63 巻 2 号 p. 90-108

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抄録

本研究は,司書教諭や学校司書が,学校図書館を利用した授業の中で,教員との役割分担を形成していくプロセスを明らかにすることを目的とする。指導的役割を果たしている司書教諭と学校司書に対する半構造化インタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。その結果,役割分担に影響を与える要因と,役割分担が形成されるプロセスからなるモデルを生成することができた。司書教諭や学校司書は,教員からの依頼で授業に参加する際,まず≪自分の役割探し≫を行い,その後,生徒の様子を見て≪指導必要性の認識≫を持ったり,図書館と教科の≪指導領域の線引き≫をしたりしている。また,≪授業を支援する自信≫と≪立ち位置に対する迷い≫の両方を持っており,その気持ちの強さが≪教員との関係構築≫に影響を与えている。教員との相互作用の結果,≪自分なりの授業への関わり方≫を見出し,両者の役割分担が形成されていた。

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