2022 年 68 巻 4 号 p. 233-251
本研究の目的は,RDF データとして表現された,日本目録規則2018 年版(NCR2018)における個別規定間の参照関係を対象にして,参照関係の集計等による実態の把握と,ネットワーク分析による大局的なレベルでの特徴の把握を行うことである。1)規定内における参照指示が範囲指定形式の場合も多く,参照先として採用すべき規定を同定する方針を設定した。2)NCR 第2・4・6 章から抽出された参照関係を条項番号単位等で集計し,参照をもつ割合を明らかにした。3)参照関係が形成するグラフについてノード数やエッジ数とその出現回数などを集計し,併せてグラフの特徴量を算出し個別グラフの特徴をまとめた。4)グラフの中心性を4 つの尺度で求め,上位ノード群を抽出し統合した上で階層的クラスタリングを実行し,形成されたクラスタ群の内容を確認した。これらにより, NCR 参照指示の様相を具体的な数値をもって確認するとともに,参照関係の大局的な特徴をおおよそ俯瞰できた。