抄録
日本語特有の漢字語とは「残念」」開催」「案内」のような日本語にしかない漢字語である。漢字語の例は中国で使用されている各種の日本語教科書、日本の新聞、インターネットのニュースなどから収集したものである。
日本語特有の漢字語を判定する場合、中日同形語、昔の中国語にあった言葉、日本語では送り仮名がついている言葉を除外した。「再発」「印象的」のような、中国語では連語で日本語では熟語である漢字語と、「全体像」「仮設住宅」「企業体質」のような、同形語を含んだり、同形語で構成されたりする漢字語は日本語独特の漢字語とみなされる。
日本語特有の漢字語は国字、当て字、和製漢語などに分類してみた。そしてその中国語訳について、日本語の元の漢字が使われる訳、全く違う漢字が使われる訳、中国語に翻訳しにくい説明的な訳に分類してみた。
最後に、日本語特有の漢字語の習得について、次のような予測を立てた。
①漢字の意味と関係のある漢字語は中国語に対応する言葉がある場合、習得しやすいが、対応する言葉がない場合、やや習得しにくい。
②意味と関係のない当て字が使われている漢字語の習得は難しい。
今後の課題として以上の予測を検証していきたい。