抄録
本研究では、日本語を専門としない中長期在留者の漢字学習の事情を探ることを目的とし、日本の会社に就職しているミャンマー人在留者1名に半構造インタビュー形式で日本語学習及び漢字学習について調査した。インタービューデータを文字化して分析した結果、次のことが明らかになった。まず、調査協力者は、日本語学習の必要性を感じつつ、時間管理により、自律的に学習が難しいことが分かった。また、漢字学習については、自分の専門である建築に関連する語彙や日常生活で見かける語彙が学習対象となっていることが明らかになった。これにより、日本語を専門としない中長期在留者にとっては、自律的な日本語学習の実施が難しく、習得する日本語は自分の専門に関わるもの及び身近なものに限られている傾向があると考えることができる。今後は、調査協力者を増やして同様の結果が見られるか否かを検討し、日本語教師としてどのような支援ができるかについて引き続き考えていきたい。