抄録
非漢字圏学習者が学習の中でどのように漢字を捉えているのかを明らかにさせるために、フランス人の大学生を対象として漢字学習に対する意識調査を行った。本調査では選択式のアンケートと自由記述式のアンケートを合わせて行い、大学1年生から4年生に至るまで120名の情報を得た。その結果から、学年を問わず最も学習が難しいのは漢字の読みであることが明らかになった。さらに学年が上がるごとに学習が難しいとされる漢字の特徴は、単漢字から漢字語彙または漢字の意味へと変動していた。これらは、学年が上がるごとに導入漢字や語彙がより複雑になったこと、また学習漢字が増加したことによる記憶保持が問題になっていると考えられる。さらに、学習時に使用している漢字の特徴については、既に知っている日本語の語彙を関連付ける傾向が見られた。