日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: S102
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シンポジウムⅠ
新千歳空港国際線ターミナルUDプロジェクト
*切通 堅太郎
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抄録


 新千歳空港では、近年特に国際線旅客が急増し、施設の狭隘化により旅客が長時間滞留するなどの問題が発生していた。そこで、現在のビルの西側に国際線旅客ターミナルビル(以下、新国際線ビル)を建設することとなり、現在の新千歳空港旅客ターミナルビルを運営している北海道空港(株)が、公募を経て営業予定者となることが平成18年に決定した。北海道空港(株)はその後新国際線ビルの設計を進め、平成20年5月に着工し、22年3月の供用開始を目指している。
 新国際線ビルは、バリアフリー新法等国の法制度等の動向や、高齢化の進展などの社会的背景を踏まえ、ユニバーサルデザイン(以下、UD)の考えに基づいた整備を行うこととされ、基本設計時点より、UDに関する委員会を設置して各種検討を進めてきている。なお、平成16年に開業した中部国際空港は、障害当事者らが設計段階から積極的に検討に参加して整備され高い評価を得ていることから、本プロジェクトについても中部国際空港の実績を十分に踏まえた整備を行うことが前提となっている。
 UDを踏まえた施設整備を目指していく過程において、当事者の意見は、施主や工事関係者にとって新たな視点を提供することとなり有益なものとなる一方、例えばロービジョン者の中でもその視覚特性は多岐にわたり、時によっては相反する意見もあるため、その整理には十分な検討が必要である。
つまり、一つの物事を決定していく際には、様々な意見を収集するだけでなく、その物事が決められた背景、経緯、コスト、メンテナンス性等様々な要素を総合的に踏まえなければならず、そのためには、十分な議論のプロセスが必要となる。また、短いスケジュールの中で、そのプロセスをいかに効率的に行っていくかが、UDの推進プロジェクトには求められていると言える。

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