抄録
【目的】訪問リハビリテーションを行った患者について拡大読書器周辺環境の指導による改善の状況を報告し、症例を供覧する。
【対象と方法】対象は本研究参加施設において訪問リハビリテーションを希望した患者8名である。方法は、それぞれの自宅を訪問し、拡大読書器指導マニュアル(別演題で報告)を用いて使い方について指導を行った。周辺環境についてはマニュアル中の以下の項目についてチェックシートを用いて評価し、改善するように指導した。1.障害になるものを周りに置いていないか2.配線や接続に問題はないか3.机や椅子の高さ、眼との位置関係は視機能の状態に応じて調整できているか4.拡大読書器の画面に反射が映りこんでいないか5.部屋の明るさは適当か
【結果】それぞれの項目の該当者数は以下の通りであった1.(2名)、2.(2名)、3.(7名)、4.(0名)、5.(6名)。該当者が多かったもののうち3.の問題点に対しては座布団をひいたり、椅子を変更したりして椅子の高さを適正にするよう改善を行った。5.の問題点に対してはカーテンやブラインドで遮光するよう指導を行い、訪問時に持参した遮光眼鏡が有効であった場合は貸し出しを行った。症例1:70歳 女性、角膜変性症、高度近視、視力RV=光覚(-)LV=(0.08)画面上の目線の位置が適切な位置より14cm低かったため座椅子に変更し平行になるようした。また、遮光眼鏡の貸し出しを行った。この例では固定ネジに故障があり業者へ修理の依頼をした。症例2:74歳 、女性、黄斑変性症、角膜混濁、視力 RV=(0.07)LV=(0.06)画面上の目線の位置が適切な位置より10cm高かったので、高さ調整が可能な椅子に変更した。また、遮光眼鏡が有効であったので装用を勧めた。
【結論】拡大読書器を有効に使用するために、操作法の指導に加えて、環境面での適切な指導が望ましいと考えられた。外来においても環境面でのアドバイスが必要であると思われた。