日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: O_III_
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O_III_ 移動・環境/パソコン
ロービジョン者(低視力者)に配慮した空間デザインの考え方について
中部国際空港旅客ターミナルビルの取り組みを通して
*原 利明
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抄録

1.はじめに
我が国の本格的な高齢社会の到来に対応する社会基盤の整備が急務となっており、都市・建築においても、ハートビル法(1994年)、交通バリアフリー法(2000年)、福祉の街づくり条例等が整備され、一定の成果があがっている。しかし、見にくさを訴えるロービジョン者に対する配慮は極めて遅れているのが現状である。そこで中部国際空港旅客ターミナルビルでは、ロービジョン者への配慮を試みた。
2.ロービジョン者への配慮ポイント
空港は、多くの手続きがあり、そのため機能が複雑となり空間も広くなっている。中部国際空港では、ユニバーサルデザインの理念に基づき、特定の人の特別な装置や設備を用いなくても、デザインによって、多くののことが解決できると考え、以下のポイントに配慮した計画を進めた。
1)わかりやすい空間のデザイン:空間の輪郭を把握しやすく、動線を暗示させる床のデザインや照明計画
2)発見しやすいデザイン:障害物の回避、空間のランドマークとなりえる昇降機やサインを発見しやすくするための、コントラストの高い色彩計画、メリハリのある照明計画
3)見やすいデザイン:周辺、地と図のコントラストの高い色彩計画、文字・図のデザイン、照度等の周辺環境や設置高さ、提供する情報の内容にも配慮
3.デザインの検討と設計への反映
ロービジョン者に配慮した空間のデザインを実現するために中部国際空港ユニバーサルデザイン研究会では、空間を構成するデザイン要素も情報と捉え、情報提供・サイン部会を設置し、当事者参加による検証・検討を行い設計に反映をさせていった。今回は、床のデザイン、照明計画、フライト・インフォメーション・システムの表示画面での試みを通して、都市・建築空間において、ロービジョン者にとってのデザインの有効性・重要性について報告を行なうものである。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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