日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: O_II_
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O_II_ 症例/地域連携
糖尿病網膜症で視覚障害を負った症例の受障直後の二年間(症例報告)
*清水 美知子井上 朱實
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抄録

糖尿病網膜症の治療の予後の改善で、視機能を長期間維持する例が増えている。視覚障害リハビリテーション専門職にとって介入が難しい例でもある。今回視力低下と透析をほぼ同時に負った患者と、受障直後から2年間定期的に面談し、その間の視力と気持ちの変化を観察した。そこで、その経緯を報告するとともに、視機能がこのような時期にある糖尿病網膜症患者の視覚障害リハビリテーションサービスについて検討する。

症例:男性、54歳(初回面談時)、両眼増殖糖尿病網膜症 視力(面談期間中の視力変動幅):右 0.01?0.2、左 光覚弁-0.01 現病歴:30代に生命保険の診断で血糖が高いことを知ったが、放置。2002年11月視野が白くなり運転ができず眼科受診そのまま内科へ入院。2002年12月に腎透析開始。生活状況:休職中(運送業とコンピュータによるグラフィックデザインを弟と自営)以前症例が担っていた家事は,視力低下後は同居する弟と母(80歳)が分担している。日課:早朝の犬の散歩約30分。テレビを観る。通院:平均月に1回、バス(行き)とタクシー(帰り)を利用。

2003年4月-2005年5月、透析治療中ベッドサイドで18回(1回30ー60分)面談した。その間の次の3期間に着目してそこでの症例の生活状況、気持ちを検証した。
1.手術後左視力が手動弁にまで回復する期間(2003.4-7):治療を放置したことへの後悔、将来への不安
2.右視力が眼底出血で低下後、出血前の視力に回復するまでの期間(2003.8-2004.1):「宙ぶらりん、中途半端な時期」、「ボーッとしているのがいいのかな」
3.右眼の2回目の眼底出血から、手術が決るまでの期間(2004.2-2005.2):「医師も手術のタイミングに悩んでいるようだ」、「だめならだめであきらめる」、「運転免許証の更新ができるだろうか」

<継続する眼科治療、変動する視力と視力回復への期待、生活上の不自由などが混在するこの時期の視覚リハビリテーションについて検討する。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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