主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
手持ち式のハンドルーペの倍率は、正視の人がそのルーペの焦点距離(焦点距離=100/レンズの度数cm)に固定した時、「倍率M=レンズの度数/読書距離(または評価距離)に必要な調節度数」で求めることができる。例えば、20Dのルーペを正視の人が5cmの(焦点)距離に固定して使う場合、読書距離(評価距離)が30cmの場合はM=20/3.3≒6.1倍 となる。しかしスタンドルーペの場合はレンズが焦点距離ではなく、焦点距離の内側の不特定の位置に固定されているため、このルールが使えない。この構造のために有限の距離に拡大された虚像ができるため、倍率を計算するためにはレンズから虚像までの距離、虚像の大きさ、眼とレンズの距離を計測した上での計算が必要になる。つまり、スタンドルーペは度数がわかっただけでは倍率を決めることができない。
そこで、現在市販されているスタンドルーペの倍率がわかる換算表を作成した。この換算表はルーペのレンズ面から眼を何cm離したら何倍に見えるかを製品ごとに一覧にしたものである。また、眼を何cm離したら拡大された新聞の文字が何文字同時に視野に入るかを測定して掲載した。
本研究では、MNREAD-J等の読書評価で得られた倍率を獲得できるスタンドルーペの一選定方法を提案したい。