日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P_I_
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ポスターセッション_I_
視野が狭いとき文字を大きくすると読みやすさは改善するか?
*鈴木 理子小田 浩一
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抄録


【目的】
網膜色素変性症などによって視野狭窄を伴うロービジョンでは、視野が狭いために読書が困難になることがあると言われている。視野(ウィンドウの数)が制限されている場合でも読み速度を維持するためにはどうしたらよいだろうか。一般的に、運動しているものを見るときは、空間周波数が低いほうが感度が良いので、文字サイズを大きくすると成績が改善するか検討する。
【方法】
平易な文章(MNREAD-J)をPC画面上で右から左に流しながら、被験者に音読させた。文章を流す速度(スクロール速度)を160、320、640、1280、2560文字/分に変化させ、一度に見える文字数(ウィンドウサイズ)は1、2、4、8文字4通りに変えた。また、文字サイズには視角1度と4度の2種類を用意し、音読がどのくらい正確にできるか比較した。被験者は視覚正常で日本語を母語とし、言語認知能力に問題のない大学生5名であった。
【成績】
最大読書速度について文字サイズとウィンドウサイズの二要因による分散分析を行った結果、主効果の1つのウィンドウサイズが有意(F(3,32)=9.38, p=0.0001<0.01)であった。また、文字サイズと交互作用に有意傾向がみられた(F(1,32)=3.02, p=0.09>0.05、F(3,32)=2.60, p=0.07>0.05)。視角1度の文字よりも4度の大きさで呈示した場合で読書成績の改善がうかがわれた。特にウィンドウサイズが1文字の条件と2文字の条件ではっきりしていた。
【結論】
極端に視野が狭い場合において、大きい文字サイズでの呈示は有効かもしれないということが示唆された。今後、被験者を増やしてさらに傾向をみる必要がある。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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