主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
緒言:転居に伴う自宅周辺の移動の不具合の改善を求めて来所し、遮光眼鏡装用により改善が図れた症例を得たので報告する。
対象及び方法:近医にて「黄斑部変性症」「網脈略膜萎縮」と診断された80歳の女性である。視力は右0.3(n,c)左0.03(n,c)ということであった。来所時は家族の歩行介助が必要な状態でであった。メガネでの改善は矯正不能のためできず、単眼鏡使用による視覚向上を試みたが本人のモチベーションが低く使用が困難であった。問診時に「羞明」があることを確認してあったため、次に遮光眼鏡を試した。
結果:遮光眼鏡装用により歩行介助が不要で歩けるようになった。本人の言葉を借りると、「まぶしいから顔を上げることが出来なかった。顔を上げられないから、怖くて歩けなかった。しかし、遮光眼鏡装用によりまぶしさを感じなくなったため、顔を上げることが出来るようになった。また、道の縁石の段差もわかるため、歩くことに自信を持てた。」とのことであった。
考按:遮光眼鏡が持つ「羞明防止」及び「コントラスト向上」は、歩行による移動にも有効な手段と思われる。