日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P_I_
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ポスターセッション_I_
退院後一人暮らしを実現するために行った糖尿病網膜症患者への支援の事例報告
*道面 由利香谷口 由子藤井 恭子
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抄録

糖尿病網膜症患者が病院から退院後、一人暮らしを行うために介護保険と支援費を利用し地域で支援した約1年間半の実例を紹介する。
56歳、男性、II型糖尿病。H16年1月に入院、手術。3月失明。すぐに退院を告げられた。しかし、急な失明により心理的にも住環境も受け入れられる状態ではなかった。医療ソーシャルワーカーの呼びかけにより、合同カンファレンス(参加者:本人、医師、看護師、家族、介護支援専門員、訪問看護師、生活支援員、歩行訓練士)が行われ、患者の今後について話し合われた。入院中には、機能回復訓練、手引き歩行訓練、日常生活訓練が行われた。退院に備えて、身体障害者手帳及び生活保護の申請、介護保険及び支援費利用の申請、住環境の整備、新しい住環境へのファミリアリゼーションが行われた。退院後は、家事援助、デイサービス、訪問看護、移動介助、日常生活訓練が行われた。退院半年後、介護支援専門員の呼びかけにより、合同カンファレンス(参加者:本人、介護支援専門員、居宅介護支援事業者、訪問看護師、歩行訓練士)が行われ、機能回復訓練が追加された。機能が十分に回復されたと判断された時点から歩行訓練も開始され現在に至る。
退院半年後に参加した中途失明者向けのセミナーは本人の生活と意欲の改善に大きく貢献した。また、病院では医療ソーシャルワーカーが、退院後は介護支援専門員がコーディネータとして支援の実現を図り、歩行訓練士が視覚障害の専門家として関わりを続けた結果、患者の一人暮らしを実現させた。
現在、本人は短期的な展望を持つに至っているが、まだ長期的には思いが及ばないようである。今後は何が本当の自立であるかを本人及び支援者とともに考えていく必要があると思われる。

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© 2005 日本ロービジョン学会
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