主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
【目的】H12年11月、当院ではロービジョンケアを目的とした「目の相談室」を開設し、当初は医師・ソーシャルワーカー(以下SW)・視能訓練士(以下ORT)を中心に活動されていた。看護師は効果的な関わりが出来ていなかったが、次第に役割分担出来る体制になった。今回はこの推移の中で重要と思われた2症例の看護ケアの経過を振り返り、ロービジョンに於ける看護師の役割について考察したので報告する。<BR>【事例】(1)H13年入院<BR>50歳代・男性。レーベル病。入院後視力低下が進み、社会的・経済的不安を訴えていたが、担当看護師が日替わりで、一貫したケアが出来ていなかった。<BR>(2)H15年入院<BR>60歳代・女性。両眼視神経症。入退院を繰り返す中で、外来時もSWとの面談に立ち会う等継続的に看護を行なう。受持ち看護師を中心に訴えを傾聴し、協力的な夫を含めた歩行及び日常生活訓練をタイミングよく施行し、受容に導く事が出来た。<BR>【考察】当院は、手術目的の患者が多く機能別看護体制がとられていた為、患者の社会面・心理面での問題解決に至らなかった。しかし、苦悩している患者を前に効果的な関わりが出来なかった症例(1)を契機に「目の相談室」の参加と共にプライマリー制を導入した。症例(2)で効果的な関わりが出来た背景には、プライマリーナースが傾聴する事により問題点が明確となり、医師・SW・ORTと連携しスタッフ全員でアプローチ出来た事にある。また、看護の質を高めるにはどうしたらよいのかを模索してきた事で、個々のナースの成長に繋がった。<BR>【結論】看護師は、患者の一番身近な存在として患者の訴えを「傾聴」し、自己の気持ちを整理できるよう導く努力が必要である。また、看護師は他の医療スタッフとのパイプラインの役割も有している為、より多くの情報を患者に提供出来る様知識を深める努力が必要である。