日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: S1-7
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糖尿病網膜症
糖尿病網膜症:ロービジョンケアの疾患特性と問題点
*田中 恵津子
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抄録

杏林アイセンターのロービジョン外来の相談患者の内、糖尿病網膜症患者は約2割を占める。過去4年間のケア内容を疾患別に分析した結果からは、その他の疾患群は傾向が類似しているのに対して、糖尿病患者群は少し異なる傾向を示し、読書用補助具、OM、パソコンなどの訓練が他の疾患群より低い結果であった。文字が読み難い、外出しにくいなど困難の程度は他の疾患群と同等でも、ロービジョン外来で提示した解決方法を取り入れる率が低いと解釈できる結果であった。視力変動の傾向、全身症状の変動、血糖値測定や食事療法、運動療法といった治療上必要とされる生活スタイル、といった糖尿病に特異的にみられる対象患者の条件と既存のロービジョンケア内容に食い違いがあることが予想できた。その結果をふまえて当センターで行った、血糖値測定や自己注射に役立つ補装具や動作ポイントの紹介、一日の生活の流れを話し合う試み、障害者スポーツセンターでの運動をとりいれる試みなどについて述べる。
また、当センターでは、入院患者でロービジョン外来の相談をうける患者の8割が糖尿病網膜症であった。この対象者にみられるニーズは、通院患者や他の入院患者と大きく異なり、急激な視力低下のため入院前の生活の継続が困難である症例が多かった。ことに対象が単身者である症例には、早急に他職種を交えた対応が必要であった。生活動作のリハビリ訓練を実践する視覚障害リハビリテーション専門施設との連携が必須となるが、入所するまでの待機時間を短くするのは難しく、専門施設へのスムーズな移行を準備する間に院内にリハビリ訓練の機能をとりいれる形態を考えることも重要と思われた。

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© 2005 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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