日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: S2-5
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シンポジウム II 理想のロービジョンケア体制を求めて Part 2
外部の専門家とのよりよい連携を目指して
*山本 敬子
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抄録

静岡県の盲学校には歩行訓練に長けた教員は極めて少ない。県内には現在8名の歩行訓練士がいるが、各校とも彼らを講師に年1回ほど校内研修を実施する程度にとどまっており、有効に連携しているとは言い難い。現在の学校では、研修体制や予算面での不安定さなど、継続的な指導を受けるには様々な問題もある。しかし、盲学校の抱える大きな課題である専門性の向上を図る上では、様々な分野での外部専門家と連携し、有効なネットワークを確立していくことが大切であると考える。
昨年度、本校では外部の専門家(歩行訓練士)を講師として招き、児童生徒への歩行指導と教員の対する事例研修会を数回実施した。専門家から継続的に指導を受け、児童生徒の技術的な伸びはもちろん、歩くことに楽しみや自信をもつ姿を見て、考え方が大きく変わった。技術的なことに気をとられ本来の歩行の意味や子どもの思いを見失っていたこと、目的地まで歩くことのみが目標になって「道を知る」ための歩行をしていなかったこと、行動の一側面だけを見て場当たり的な指導をしていたことなどにも気づいた。
具体的な指導方法だけでなく、家庭での移動や歩行時の見え方などの実態把握や、課題設定をする際の視点など、これから改善すべき点はたくさんある。今後も、的確な歩行指導を行うために定期的に専門家から児童生徒、教員共に指導を受けていきたい。
しかし、専門家に頼るだけでなく、自らが力をつけて、日々の指導をより有効なものにしていかなくては意味がない。今後、教員間で貴重な事例を共通の財産とし、同じ課題意識をもって高め合っていきたい。そのための具体的な方法を、専門家のアドバイスを受けながら、一つずつ作っていくことが今年度の課題である。

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© 2005 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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