日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: L3
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指定講義
両眼開放視野について
*松本 長太
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抄録

眼科臨床で広く行なわれている視野測定は、一般的に片眼遮蔽の状態で測定されている。これは、各種疾患の診断、経過観察を行なう上で必要不可欠な基本的検査手法であることは疑いの余地はない。一方、我々は日常生活においては、両眼開放の状態で生活をしており、実際の日常生活上のさまぎまな視機能の質を考える上では、両眼開放下での視野がどのような状態であるかを詳細に把握することは、非常に重要なテーマであると考える。しかしながら、両眼開放視野は、その視野測定方法、結果の解釈などにおいてまだ確立した手法が無いのが現状である。さらに、両眼開放視野は、単に左右の視野を数学的に重ねるだけでは解決しない複雑な両眼相互作用が存在することも事実である。
我々は、自動視野計Octopus 201にスペースシノプトフォアを組み込んだ両眼開放視野測定装置を独自に開発し、静的視野測定における様々な測定条件下での両眼開放視野の両眼相互作用について検討してきた。その結果、両眼刺激での受容野は片眼よりも小さくなること、両眼開放視野ではbinocular summation ratioは解像度閾値のほうが検出閾値より高いこと、中心窩より離れるほどこの傾向が大きくなることなどを示してきた。さらに、両眼開放化で自動動的視野視野測定が可能な改良型Octopus 101を用い、定速の視標スピードで、さらに被検者の反応時間の補正を行なった状態で、片眼視野、両眼開放視野の違いについて検討した。その結果、動的視野における両眼開放視野の広がりは視野の中心部でより強い両眼相互作用を認めることが分かった。
本講演では、これら両眼開放下での静的ならびに動的視野のデータを紹介した上で、両眼開放視野の考え方、その問題点などについて考えてみたい。

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© 2005 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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