日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第6回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集/第14回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: L4
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指定講義
中途失明と点字指導
*原田 良實
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抄録

文字としての「点字」が、視覚に障害を持ち、活字印刷文化から隔絶されてきた人々に果たした役割は大きい。点字の普及は、視覚障害者の人権の拡大と大きく関わってきた。文字としての「点字」のみの時代から、音声を介在したテープレコーダーによる録音・再生を経て、電子機器による音声読み上げ、コンピュータを利用したワードプロセッサや電子メールでの情報交換など、さまぎまな情報の作成・発信・受信が可能な時代へと移行しつつある。視覚障害は、「言葉」を介在させることによって、理解することができる障害である。視覚障害者にとって重要なのは、「文字」なのだろうか、それとも「情報」なのだろうか。視覚障害者の中で、中途視覚障害者の占める割合は大きくなっており、これらの中途視覚障害者にとって、「点字学習」は困難な課題である。しかも加齢とともに困難度は増して、「点字回避」や「点字拒否」につながっていく。「点字」は、リハビリテーションプログラムにあっても、コミュニケーション訓練の分野で主要な位置を占めてきた。しかし、今は、見直す時期にあるのかも知れない。「点字指導」の現状はどうなっているか。「学習」とその「結果」はどうか。「点字」は役に立つのか。文字としての「点字」の学習の意味は何か。解答のでない宿題を、皆さんと一緒に考えたい。

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© 2005 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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