日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第9回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: PI-07
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職場復帰のためのロービジョンケアと職業リハビリテーション
労働災害にて両眼失明した事例のその後
*高橋 広久保 恵子志鶴 紀子斎藤 良子山田 信也工藤 正一
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抄録

【目的】視覚障害者の就労は非常に厳しく,雇用継続に力を注ぐべきである.そこで第6回学術集会にて,労働災害で両眼眼球破裂した事例の障害受容過程と職場復帰の取り組みを紹介し, 眼科医療の支援,ロービジョンケアが重要で,職場復帰のためには早期に支援団体や労働関係機関と連携することが鍵と結論した.今回は,この事例のその後の経過と視覚障害者の職業リハビリテーションの課題について報告する.【事例】30歳,男性に2004年5月,鉄パイプが落下し,頭蓋骨骨折,脳挫傷を負い,両眼も失明した.7月視覚を含めたリハビリテーションのため転院してきたが, 全てが全面介助であった.理学・作業・言語聴覚療法を行い,視覚障害者の日常生活動作も訓練した.そして,NPO法人タートルや障害者職業センターなど労働関係機関とも連携し,視覚障害者も生活や仕事ができることを実感し,障害受容を図り,会社にも支援を要請した. 2005年3月退院し,歩行やコンピュータの基礎訓練を更生施設で行い,翌年4月から日本ライトハウスにて本格的な職業リハビリテーションを開始した.そこでは,視覚障害者用音声ソフト(JAWS)の訓練を徹底的に受け,また彼のひたむきな姿に会社経営陣も直に接した.そして,会社のINTRANETをも彼が使えるようにし,2007年4月職場に復帰した.【結果および結論】障害者の職場復帰には,本人の復帰に対する強い意思と事業主を含む周囲の理解やチームによる連携と協力は欠かせない.しかし彼らが仕事をする上での技術,特にコンピュータ技術を教えることができる者は全国でも数名で,その指導員の増加と職場定着のためのジョブコーチの育成が急務である.

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© 2008 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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