日本レーザー医学会誌
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原著論文
光硬化性キトサンゲルの局所薬剤担体および粘膜切除術への応用
小原 聖勇林 琢也松山 智一中村 伸吾石原 美弥尾關 雄一松井 岳巳高瀬 凡平前原 正明菊地 眞石原 雅之
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2005 年 26 巻 1 号 p. 21-26

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抄録
我々はキトサンにラクトースとアジド基を導入することにより,短時間の紫外線照射により軟ゴム状ゲルに変化する光硬化性キトサンゲルを調製し,外科手術補助用生体接着剤として,閉塞性創傷被覆材としての特性を確認してきた.この光硬化性キトサンに増殖因子であるFGF-2,あるいは抗癌剤であるパクリタキセルを含有した局所薬剤担体として,またEMR時の粘膜下充填剤としての特性を検討した.FGF-2含有光硬化性キトサンゲルは糖尿病マウスの難治性創傷において,創傷治癒促進効果を認めた.ラットを用いたEMRに関する検討では,光硬化性キトサンゲルを粘膜下に注入することにより,確実な粘膜の隆起を得られ,出血量の減少を認めた.3LLを用いた腫瘍マウスにおける検討では,パクリタキセル含有光硬化性キトサンゲルの腫瘍局所投与により,有意な腫瘍増殖抑制を認めた.光硬化性キトサンゲルは薬剤担体として応用が可能であり,またEMR時の粘膜下充填剤としての可能性が示唆された.また,レーザー光の使用により,光硬化性キトサンゲルの狭小部への応用範囲が広がるものと思われた.
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© 2005 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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