日本レーザー医学会誌
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特集「形成・美容皮膚科におけるレーザー治療」
フラクショナルレーザー療法の実際;その基礎と応用について-
須賀 康
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2009 年 31 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

フラクショナルレーザー療法は,きわめて微細なレーザー光(micro laser beam)を一定の密度で皮膚に照射してゆく治療法である.このようなレーザー照射法では,周囲の皮膚が熱緩和(thermal relaxation)の役割を果たし,表皮や真皮に対してのburn-like thermal damageを最小限に抑えることができる.一方では,micro laser beamの熱刺激により表皮のターンオーバーを亢進し,真皮組織を十分に収縮させて,従来のlaser resurfacingに劣らない皮膚リモデリング作用を誘導できる.特に炭酸ガスレーザーを用いたフラクショナル療法は,真皮組織の一部を確実に蒸散し,取り除くとともに,熱によるコラーゲン収縮が生じるため,皮表に張力を与えて,強力なスキンタイトニング効果を可能にしている.
本療法の登場により,真皮へ強力なアプローチが可能となったため,これまで十分な方法がなかった,?瘡瘢痕の治療にも応用できるようになった.すなわち,表皮が細かく陥凹するような所謂,顔面のice pick scarには特に有効であり,日常生活で?瘡瘢痕の整容的なコンプレックスに悩んでいる患者にとっては朗報となっている.

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© 2009 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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