日本レーザー医学会誌
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特別解説特集「レーザー安全の現状」
光が皮膚に与える影響
今川 孝太郎宮坂 宗男
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2012 年 32 巻 4 号 p. 444-451

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抄録

自然科学において,光は電磁波の一種と位置付けられ,紫外線,可視光線,赤外線が含まれる.光が物質に吸収されて起こる反応には,光化学作用と光熱作用がある.紫外線は光化学作用,可視光線・赤外線は主に光熱作用を起こす.皮膚に与える影響として,紫外線は細胞障害による皮膚癌,光老化の原因となるので,過度の紫外線暴露は避けるべきと考えられている.一方で光は様々な皮膚疾患の治療に応用されている.光化学作用を利用した治療には紫外線療法,光線力学療法があり,異常細胞のDNA破壊,アポトーシスの誘導が主な作用機序である.光熱作用を利用した治療には可視光線・赤外線領域の波長のレーザー,光線治療器がある.波長の種類,照射の強度により目的は様々であるが,標的組織の破壊や温熱作用による細胞の活性化などに利用される.光は波長の違いにより深達度,吸収される物質が異なる.光を用いた治療を安全にかつ効果的に行うには,これらの点を踏まえて治療機器を選択することになる.そのためには,基本的な皮膚構造の理解と,正確な診断をすることが必要不可欠である.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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