2020 年 40 巻 4 号 p. 403-407
不活化センダイウイルス粒子(hemagglutinating virus of Japan envelope: HVJ-E)を悪性腫瘍組織へ局所投与することによって腫瘍特異免疫を誘導することが報告されている.今回,猫の乳腺癌症例に対して,taraporfin sodium(NPe6)を封入したHVJ-Eを腫瘍組織内に局所注入後,光線力学的療法(photodynamic therapy: PDT)(NPe6 HVJ-E PDT)によって免疫をより賦活させるための治療を試みた.局所の免疫誘導に関しては,組織学的に検討した.治療を行った結果,腫瘍組織の内部及び周辺にNPe6 HVJ-E PDTによる腫瘍細胞の壊死とそれによって誘導されたと思われるマクロファージが確認された.また,無治療の腫瘤と比較して腫瘤周辺にリンパ球浸潤が顕著に観察され,NPe6 HVJ-E PDTの免疫細胞誘導効果が確認された.